ゴールデンウィークに一般公開されていた神奈川県庁本庁舎を見学してきました。
神奈川県庁本庁舎は、「キング」の愛称で親しまれている横浜三塔のひとつです。普段は公開されていない旧貴賓室や旧議場、正庁などを見ることができ、昭和初期の装飾や建築を間近で感じることができました。
今回は、横浜税関(クイーンの塔)や周辺スポットもあわせて巡ってきたので、見どころや実際に訪れて感じたことをまとめます。
横浜三塔とは
- 「キング」=神奈川県庁本庁舎
- 「クイーン」=横浜税関
- 「ジャック」=横浜市開港記念会館
の3つの歴史的建物の総称です。現在も横浜港周辺のシンボルとして親しまれています。
名前の由来には諸説ありますが、外国船員たちが海から見える塔をトランプのカードになぞらえて呼んだという説がよく知られています。
神奈川県庁本庁舎(キングの塔)

神奈川県庁本庁舎は、昭和3年(1928年)に建てられた4代目の県庁舎です。中央の塔が特徴で、現在は国の重要文化財にも指定されています。
館内外には「宝相華(ほうそうげ)」の文様が多く使われており、照明やドア、壁面などさまざまな場所で見ることができます。
歩きながら装飾を探すのも楽しく、ボランティアスタッフの説明を聞くことで建物の面白さをより感じられました。
一般公開について
神奈川県庁本庁舎では、不定期で一般公開が行われています。
普段は非公開のエリアも見学することができます。
公開されていた場所
3階
・知事室(扉からのみ)
・旧貴賓室(第3応接室)
・旧議場(大会議場)
4階
・正庁
6階
・本庁舎歴史展示室
・屋上
なお、普段は6階の歴史展示室と屋上のみが公開されています。
見学時の混雑状況
この日は横浜パレードとも重なっていたため、一般公開にはかなり多くの人が訪れていました。
特に知事室は行列が長く、旧貴賓室付近まで並んでいたため、今回は断念しました。
エレベーターも混雑しており、階段移動のほうが早いほどでした。
館内を見学して感じたこと
装飾灯

1階では、特徴的な装飾灯を見ることができます。
フランク・ロイド・ライトの旧帝国ホテルを思わせるデザインで、宝相華の文様が使われていました。細かな部分まで装飾が統一されており、建物全体へのこだわりを感じます。
旧貴賓室(第3応接室)


3階にある旧貴賓室は、今回の見学で特に印象に残った場所です。
格式ある格天井造りの空間には、創建当時のシャンデリアや家具調度品が残されています。
家具は横浜家具だそうで、丸型シャンデリアや銅板のドアにも宝相華の装飾があり、細かな意匠まで見応えがありました。
また、旧知事公舎で使われていたと思われる食器も展示されていました。

暖炉の上には、川島兵衛商店が制作した織物の額が飾られています。
最初は絵画だと思っていたので、織物と知った時はかなり驚きました。
右下の説明文によると、原画では現在と異なる図柄が描かれており、外国商館風の建物が松に置き換えられていることがわかります。
また、ボランティアスタッフの方によると、当初は黒船も描かれていたとのことでした。
背景を知ると、さらに興味深く感じました。
旧議場(大会議場)


旧議場は、かつて県会議場として使われていた場所です。
3階から4階まで吹き抜けになっており、庁内で最も広い部屋とされています。
実際に入ると劇場のような雰囲気で、最初は会議室とは思えませんでした。天井は格子状に仕切られた折上げ格天井になっており、戦後に設置されたシャンデリアも空間によく調和していました。
訪問時は「昭和100年」のパネル展示や昔のCM映像も流れていました。
正庁

4階の廊下壁面には大きな陶製装飾タイルがあり、中央には宝相華の装飾もありました。
歩いているだけでも装飾の多さに目を引かれます。


正庁は、庁内の重要儀式に使われていた格式高い部屋です。
創建当時は、部屋中央の奉安殿に天皇・皇后の御真影が安置され、式典などで使用されていたそうです。
実際に空間を見ると、戦前の官公庁らしい厳かな雰囲気を感じました。
本庁舎歴史展示室

6階の歴史展示室では、初代から現在までの県庁舎の歴史を知ることができます。


展示では、神奈川県の前身が「横浜裁判所」だったことも紹介されていました。
火災や関東大震災を経て、現在の県庁舎へ受け継がれてきたそうです。
特に三代目県庁舎は関東大震災で全焼しており、現在の建物は震災後の昭和3年(1928年)に建てられたそうです。
歴史を知ると、現在まで建物が残されていることの貴重さを感じます。


建設時にはコンペが行われ、一等当選した小尾嘉郎の案をもとに設計されたそうです。
船舶が出入りする港から見て、すぐに県庁とわかるデザインであることも条件のひとつだったとのことでした。
似た雰囲気の案が多かった理由にも納得できます。
展示室では、約3分30秒の県庁の歴史音声を聞くことができます。


また、一部の鉄筋コンクリート構造を見ることができ、展示室前の階段では昭和3年竣工当時の鉄骨階段も残されていました。
屋上



6階から屋上に出ることができ、横浜税関や横浜市開港記念会館をはじめ、みなとみらいの景色を一望できます。

ベンチもあり、座って景色を眺めることもできます。
座る位置によっては、ランドマークタワーや横浜税関、高層ビル群が中心に見える景色になっていました。

屋上には、昭和38年に取り外され、ここに復元された創建当時のテラコッタが展示されていました。
荒い縦筋のデザインが特徴的な外装用の焼き物で、「キングの塔」の重厚な印象をつくっていたそうです。
現在は銅板で覆われていますが、当時の装飾を間近で見ることができます。
見学方法について
平日の入庁方法
出入口のQR入庁証発券機で、訪問先・人数・氏名・電話番号を入力し、「印刷」ボタンを押すと入庁証が発行されます。
入庁証は1日限り有効で、首から下げて使用します。建物への入退館時にQRをかざすとゲートが開く仕組みです。
1つの訪問先であれば、他の庁舎にも入ることができます。
入口には警備員の方もおり、初めてでも丁寧に案内してもらえます。
詳しくは神奈川県の公式サイトをご確認ください。
エレベーターの利用方法

エレベーターは複数台あります。
屋上まで行く場合は、中央階段左側のエレベーターを利用すると6階までアクセスできます。残りのエレベーターは5階までのため、最後は階段で上がる形になります。
5階で降りた場合でも、階段に案内表示があり、迷わず屋上へ向かうことができます。


また南側にはレトロなエレベーターもあり、階数表示が針で動くインジケーター式になっているのも特徴です。内部は現代的な一般的なエレベーターでした。
東庁舎11階テラスからの景色

入庁証発券機で発行したQRコードをかざすと入ることができ、エレベーターは4基あります。
テラスからは横浜三塔を一度に見ることができます。


訪れたときは、ほぼ貸し切りのような状態でした。
本庁舎よりも横浜ベイブリッジが近く感じられ、横浜スタジアムも見えました。
手すりはガラス張りになっており、ベンチからもゆっくりと景色を楽しめます。

館内放送のニュースが流れており、テラスでもその音が聞こえていました。
また昼時は職員の方の昼休みと重なるため、エレベーターやゲート前が混雑するようです。ゆっくり見学したい場合は、昼の時間帯を避けるのがおすすめです。
【開放時間】
平日 午前8時30分〜午後5時15分
※閉庁日は利用できません。
横浜税関(クイーンの塔)

横浜税関は、イスラム風ドームが特徴的な建物です。
現在の庁舎は3代目で、2003年に大規模改修が行われ、3代目の外観を生かした姿となっています。

展示室では、横浜税関の歴史や建築デザインなどを見ることができます。


入口付近には、税関イメージキャラクター「カスタム君」と写真撮影できるコーナーもありました。

ファイバースコープや探知犬、金属探知機などを体験できるコーナーもあり、子どもたちが夢中になっていました。
また、ワシントン条約関連展示では、象牙取引による象の減少についても紹介されていました。
1980年代に世界で多くの象牙を購入していた国のひとつが日本だったことを知り、かなり衝撃を受けました。

展示では、横浜港の輸出品として「生糸」が重要だったことも紹介されていました。
横浜の生糸というと、原三溪として知られる原富太郎の名前が思い浮かびます。横浜の発展や美術文化にも深く関わった人物で、展示を見ながら横浜の歴史とのつながりを感じました。
周辺スポットを散歩
■象の鼻パーク

スクリーンパネルには、横浜開港に関わった人物たちが紹介されていました。
原家を築いた実業家・原善三郎の名前もありました。
■山下公園

山下公園では、髪の毛のように揺れる植物を見つけました。
後で調べると「エンジェルヘアーグラス」というそうです。風に揺れる様子が可愛らしかったです。

バラも満開で、多くの人が写真を撮っていました。見頃の時期に何度か訪れましたが、朝6時ごろでも撮影をしている人の姿が見られました。

また、引退した「にっぽん丸」もまだ停泊していました。今後どうなるのか気になります。
■馬車道駅(みなとみらい線)


馬車道駅は、みなとみらい地区と赤レンガ倉庫・県庁舎などの歴史的エリアの中間に位置しています。そのため、「過去と未来の融合」をテーマにしたデザインになっているそうです。
レンガの壁もあり、横浜市役所とも直結しています。
■横浜市役所


横浜市役所方面へ進むと、建物に光が差し込む構造があり、思わず上を向いてしまいました。

奥には、関東大震災で隆起した地層を見ることができます。両脇の煉瓦壁および地層の上面はレプリカで再現されているそうです。
実際に見ると、当時の地震の大きさを感じます。
■横浜市役所ノースガーデン

ノースガーデンでもたくさんのバラが咲いていました。
山下公園より人が少ないため、ゆっくり撮影することができました。
ちょこっと休憩

「JEAN FRANÇOIS」で人気と書かれていたメロンパンを食べました。
見た目は普通のメロンパンでしたが、中の生地は白パンや生食パンを思わせるようなもっちり感があり、一般的なメロンパンのようなパサつきはなく、美味しくいただきました。
基本情報
【住所】神奈川県横浜市中区日本大通1
【最寄り駅】みなとみらい線「日本大通り駅」徒歩約1分
【時間】平日 午前8時30分〜午後5時15分
※閉庁日は利用できません。
【見学料】無料
【住所】神奈川県横浜市中区海岸通1-1
【最寄り駅】みなとみらい線「日本大通り駅」徒歩約3分
【時間】午前10時〜午後4時
※休館日あり
【見学料】無料
まとめ
神奈川県庁本庁舎の一般公開では、普段は見ることのできない歴史的空間をじっくり見学することができました。
特に旧貴賓室は、装飾や家具、織物額など見どころが多く、今回の見学で最も印象に残った場所です。
平日は6階の歴史展示室と屋上のみの公開ですが、横浜の景色を眺めながら建物の歴史を感じることができます。
外観だけを見て通り過ぎる人も多い印象でしたが、実際に中へ入ることで、建築や歴史の面白さをより深く感じられました。
無料で見学できるスポットとしては見応えがあり、歴史建築や横浜散歩が好きな方にもおすすめです。
見学後は、東庁舎テラスや横浜税関、山下公園周辺まであわせて散策すると、より横浜らしい景色や歴史を楽しめると思います。

