【横浜・みなとみらい】シルク博物館で絹の世界に触れる|生きたカイコ展示や糸くり体験をレポート

シルク博物館 美術館

先日、京急百貨店・ウィング上大岡開店30周年記念展示として開催されていた「横浜スカーフ展」を見学しました。

この展示は、関東学院大学との産学連携によって企画されたもので、かつて大岡川沿いに横浜スカーフの捺染工場が並んでいた上大岡の歴史に着目し、横浜スカーフの歩みや魅力を紹介する内容でした。

展示を見たことで「横浜スカーフはどのように作られてきたのだろう?」と興味を持ち、シルク博物館を訪れてみました。

館内では、カイコやシルクの仕組み、横浜と絹産業の歴史を学ぶことができます。
印象に残った展示や体験を紹介します。

シルク博物館とは

シルク博物館は、横浜が開港以降に生糸の一大輸出港として発展した歴史を背景に、絹の魅力や文化を伝える博物館です。

カイコの生態や生糸、絹織物の展示に加え、糸くりや織機の体験を通して、絹に関する文化や技術を幅広く学ぶことができます。1959年に開館し、日本の絹産業やシルク文化を国内外に発信する役割を担ってきました。

博物館が入るシルクセンターは、開港当初に英国商社のジャーディン・マセソン(英一番館)があった場所に建てられています。横浜の開港と貿易の歴史を感じられる場所でもあります。

入館・ミュージアムショップ

シルク博物館

入口は海側から入るメインエントランスと、シルクセンター館内から入るサブエントランスがあります。今回はサブエントランスから入りました。

館内に入ると、まず蚕繭を使った工芸作品が展示されています。その先にはミュージアムショップがあり、こちらは入館料なしで利用できます。

横浜スカーフやシルク製品が販売されており、手頃な価格の商品も多く並んでいました。

ふしぎファーム

シルクを学ぶ

シルク博物館 シルクを学ぶ

ここでは「シルクとは何か?」という基本的な内容から学ぶことができます。展示パネルにはクイズ形式の解説もあり、子どもから大人まで楽しめる工夫がされていました。

個人的に最も驚いたのは、1つの繭から取れる糸の長さです。

なんと、1個の繭から取り出せる糸は約1,000~1,500メートル。東京スカイツリー約2本分に相当する長さになります。

小さな繭の中にそれほど長い糸が収まっているとは思わず、とても印象に残りました。

また、天然繊維や化学繊維を実際に触り比べられる展示もありました。それぞれの肌触りの違いがよく分かり、絹は特に滑らかで柔らかい手触りがありました。

シルク博物館 シルクを学ぶ

シルクは人の皮膚に近い18種類のアミノ酸からできており、肌になじみやすい素材とされています。また、プラスとマイナス両方の性質を持つため、静電気が起きにくいそうです。

「シルクは高級で肌に良い」と聞くことはありますが、その理由を科学的な視点から知ることができました。

シルクが長年愛され続けている理由がよく分かる内容でした。

カイコの一生と生きたカイコの展示

シルク博物館 カイコの一生

完全変態するカイコの一生を学ぶことができます。

卵から幼虫、さなぎ、成虫へと成長する過程が分かりやすく紹介されています。

実際に見て驚いたのは、5齢(繭を作る直前の幼虫)の大きさです。想像していたよりもかなり大きく、しっかりとした体をしていました。

さらに、生きている3齢・5齢のカイコや、繭を作るカイコの様子も見ることができました。

5齢のカイコは頭を振りながら餌を食べていて、意外と活発に動きます。

繭を作る際には8の字やS字を描くように糸を吐くそうで、展示を見ながら「確かにこの動きなら繭が作れそうだ」と感じました。

頭の近くにある黒い模様を目だと思っていましたが、実際には違うようです。
カイコの幼虫には左右6個ずつ、合計12個の単眼があります。ただし視力は弱く、明るさや光の方向を感じる程度だそうです。

成虫のカイコガになると口の器官が退化し、ほとんど食事をしません。幼虫の時期にたくさん餌を食べるのは、その後の成長に必要な栄養を蓄えるためだと分かりました。

さらに驚いたのは、食べ物を食べる口と糸を吐く器官は別になっていることです。

知らなかったカイコの生態を知ることができました。

糸くり・織機体験

シルク博物館

シルク博物館では、体験展示も楽しめます。

繭と糸の状態を実際に触り比べることができ、生糸に残っている成分を取り除くことで柔らかい絹糸になることも学べました。

糸くり体験では、ハンドルを回して、水の中に入った繭から糸を引き出し、巻き取る工程を体験できます。

髪の毛より細い糸ですが、実際に触ると見た目以上の丈夫さを感じました。

あらかじめ何束かにまとめられた糸が箱に用意されており、記念に1束持ち帰ることができます。

また、自動で糸を巻き取る装置も展示されており、手動との違いを比較しながら見ることができました。

係の方に声をかけると、織機体験もできます。

織機というと手だけを動かして織るイメージがありましたが、実際には足元のペダルを交互に踏みながら作業します。

実際に体験することで、手と足を使って織る作業の大変さを実感しました。

しらべライブラリー

シルクと横浜の歴史

シルクと横浜の歴史

1859(安政6)年に横浜が開港すると、生糸は日本を代表する輸出品となりました。

関東や甲信越、東北で生産された生糸は、陸路や水路を通って横浜へ運ばれました。これらの輸送路は「絹の道」と呼ばれ、日本各地と横浜を結ぶ重要な役割を果たしていました。

当時の横浜は小さな村でしたが、生糸や絹織物の輸出によって発展し、日本有数の貿易港へと成長していきます。

また、横浜はスカーフ産業発祥の地としても知られています。ハンカチーフの製造から始まり、染色技術の発展とともに、現在の横浜スカーフへと発展しました。

さらに、1872(明治5)年には群馬県にわが国初の官営製糸工場である富岡製糸場が設立され、日本の製糸業は大きく近代化しました。

シルク博物館

館内では、シルクが衣類だけでなく、シャンプーや石鹸、化粧品、さらには医療分野の研究にも活用されていることが紹介されていました。

シルクのあゆみ

世界の民族衣装

展示の後半では、中国で生まれた絹が世界へ広がっていった歴史も紹介されています。

古代から現代までの復元衣装や民族衣装が展示されており、それぞれの地域で絹がどのように使われてきたのかを見ることができます。

華やかな衣装が並ぶ展示は見応えがありました。

周辺スポット

旧生糸検査所

横浜第二合同庁舎は、かつて「キーケン」の愛称で親しまれた旧生糸検査所の跡地に建てられています。

旧生糸検査所は、生糸の品質を検査する施設として重要な役割を担っていました。耐震性などの問題から一度解体されましたが、外観は創建当時の姿をできる限り再現して建て替えられています。

北仲BRICK・OMO5横浜馬車道にあるこの建物は、かつて帝蚕ていさん倉庫株式会社の事務所として使われていました。
帝蚕倉庫は、生糸検査所に隣接する専用倉庫を運営し、検査を終えた生糸を輸出まで保管するなど、日本の生糸貿易を支えた会社です。

旧生糸検査所と帝蚕倉庫の建物は、いずれも横浜ゆかりの建築家・遠藤於菟えんどう おとの設計です。

シルク博物館とあわせて巡ることで、生糸貿易が横浜の発展を支えてきた歴史を、より身近に感じられました。

基本情報

シルク博物館

【住所】神奈川県横浜市中区山下町1 シルクセンター2階
【アクセス】みなとみらい線「日本大通り駅」から徒歩約3分
【開館時間】9:30~17:00(最終入館16:30)
【休館日】月曜日(祝日の場合は翌平日)、年末年始
※臨時休館する場合があります。
【入館料】
一般500円
65歳以上・大学生300円
高校生以下100円
【所要時間】約1~1時間30分
【写真撮影】一部展示を除き可能
【混雑状況】訪問時は3組ほどの来館者がいましたが、混雑はなく、ゆっくり見学できました。
【イベント】夏休みの自由研究向けの蚕種配布や、手作り真綿・手軸糸の実演や講習なども行われています。

まとめ

シルク博物館では、横浜が生糸貿易によって発展した歴史をはじめ、生きたカイコの展示や糸くり体験、織機体験などを通して、シルクについて楽しく学ぶことができました。実際に見て触れられる展示もあり、大人でも十分楽しめます。

京急百貨店で開催されていた横浜スカーフ展をきっかけに訪れましたが、スカーフだけでなく、横浜とシルクの深い関わりや絹産業の歴史まで知ることができ、非常に興味深い見学となりました。

周辺には生糸貿易にゆかりのある歴史的建造物も残っているため、あわせて巡ると横浜とシルクのつながりをより深く感じられます。

横浜の歴史や産業に興味がある方はもちろん、親子で学びながら楽しみたい方にもおすすめの博物館です。


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