横浜美術館で開催されている「没後110年 日本画の革命児 今村紫紅」を鑑賞しました。
【開催期間】2026年4月25日(土)〜6月28日(日)
【観覧料】一般 2,200円|大学 1,600円|中学・高校 1,000円|小学生 無料
※「没後110年 日本画の革命児 今村紫紅」チケットで、当日限りコレクション展も観覧可能です。
今村紫紅(1880〜1916)は横浜生まれの日本画家で、本展は42年ぶりの大規模な回顧展です。代表作や初公開作品など約200点を通して画業をたどることができます。
展覧会の見どころや展示の様子、実際に鑑賞して印象に残った作品を紹介します。
今村紫紅とは?横浜生まれの「日本画の革命児」

今村紫紅は横浜生まれで、輸出向けの提灯問屋の家に生まれました。
今村紫紅は、伝統的な日本画を基礎にしながら琳派や西洋絵画の要素も取り入れ、独自の画風を築いた画家です。
日本画の革命児とも呼ばれています。
代表作《護花鈴》をきっかけに実業家・原三溪に才能を認められ、生活や創作活動の支援を受けるようになります。その援助によって制作に打ち込める環境を得て、《近江八景》や《熱国之巻》などの代表作を生み出しました。
また、インド旅行の際には、原三溪が約1年分の旅費を前もって援助したとも伝えられています。旅先からは原三溪へ絵葉書を送り、二人の深い信頼関係もうかがえます。
展覧会の見どころ

本展は今村紫紅の人生を紹介するパネルから始まり、4つの章で構成され、それぞれの章には今村紫紅自身の言葉がタイトルとして使われています。
第1章では歴史画家として歩み始めた頃、第2章では琳派や中国絵画など多彩な表現への挑戦、第3章では代表作《近江八景》《熱国之巻》を中心とした円熟期、第4章では晩年の「新南画」と呼ばれる新しい画風を楽しめます。
初公開作品も多く、約200点の作品を通して紫紅の画業をじっくり知ることができます。
館内の様子(所要時間・写真撮影)


約200点と聞くと作品数が多く感じますが、各章とも見やすく展示されており、実際には多すぎる印象はありませんでした。
資料や一部の動物を描いた作品は撮影できませんでしたが、比較的多くの作品が撮影可能でした。気に入った作品を写真に残しながら鑑賞できるのもうれしいポイントです。


館内は2階を巡るような動線になっていて、鑑賞後はそのままコレクション展へ進めます。
コレクション展も含めて、約2時間かけてゆっくり鑑賞しました。
また、美術館入口には傘置き場があり、雨の日でも安心して鑑賞できます。
実際に見て特に印象に残った作品

笛|今村紫紅|所蔵:東京国立近代美術館
特に印象に残ったのは歴史画です。
20歳頃の作品《笛》では、笛の名手・平敦盛が描かれています。透ける衣やはだけた姿から、この後に訪れる運命を予感させるような表現が印象的でした。


醍醐花見|今村興宗|所蔵:三溪園(山口八十八コレクション)
秀吉詣白旗宮図|今村紫紅|所蔵:三溪園
《醍醐花見》では、秀吉と秀頼が見つめる先に、戦で使われた馬印「千成瓢箪」が描かれていることから、秀吉らしさが感じられました。
また、《秀吉詣白旗宮図》では、秀吉が源頼朝像の肩をたたいて親しげに語りかける逸話が描かれています。
人物のしぐさや構図から、その場面の物語を自然と想像でき、とても見応えがありました。


鞠聖図|今村紫紅|所蔵:横浜美術館
蹴鞠の名人・藤原成通をたたえる鞠の精が子猿として描かれており、思わず笑顔になるようなユーモアを感じました。そのほか、紫紅は鳥好きだったらしく、鳥を描いた作品も数多く展示されていました。


龍虎|今村紫紅|所蔵:埼玉県立近代美術館
竹取翁|今村紫紅|所蔵:横浜美術館
琳派の影響を受けた《龍虎》は、一般的な迫力ある龍虎図とは異なり、ゆったりとした雰囲気で描かれています。ふっくらとした虎の前足がかわいらしく、思わず目を引かれました。
《竹取翁》では、多くの画家がかぐや姫の昇天を描く中、翁が光る竹を見つける場面が描かれています。翁の足の動きや視線から、その先にある光る竹がどのように描かれているのか、思わず気になりました。

大井川|今村紫紅|所蔵:豊田市美術館
東海道の難所だった大井川を、川越人足が旅人を肩車や台に乗せて渡らせる様子が描かれています。当時の川の流れの激しさや、「川越人足」という仕事があったことも知ることができました。


近江八景(小下絵)|今村紫紅|所蔵:横浜美術館(原範行氏・原會律子氏寄贈)
近江八景|今村紫紅|所蔵:東京国立博物館
国指定重要文化財《近江八景》では、紫紅自身が琵琶湖周辺を旅して描いた風景を見ることができます。完成作だけでなく小下絵も展示されており、コンパクトなサイズながらも完成作のイメージがしっかりと伝わってきました。


熱国之巻 朝之巻・暮之巻(小下絵)|今村紫紅|所蔵:横浜美術館(原範行氏・原會律子氏寄贈)
《熱国之巻》の完成作は展示期間が終了していましたが、小下絵と完成作のパネル展示がありました。見比べると、色や構図に違いがあることが分かりました。
コレクション展|2026年4月25日(土)~ 6月28日(日)


ひじかけ椅子で眠る女|パブロ・ピカソ|所蔵:横浜美術館(購入)
関東大震災画巻|中島清之|所蔵:横浜美術館(中島清之氏寄贈)
今村紫紅展のあとに、コレクション展も鑑賞しました。パブロ・ピカソや横浜を題材にした作品、横山大観の作品などを見ることができました。
ピカソの作品が展示されているとは思っていなかったため、有名な作家の作品に出会えたのは意外で、うれしかったです。


また受付付近には「びっびと!びじゅつ探検カード」があり、カードに描かれた模様の元になっている作品や場所を探しながら鑑賞できます。
今回は浮き輪のような模様のカードを手に取りました。
一度は出口付近まで進み、「見逃したのかな」と思いながら館内を巡っていると、カードと同じ模様を発見できました。写真はカードのようにきれいには残せませんでしたが、探しながら鑑賞する楽しさを感じました。
まとめ
今村紫紅展は、歴史画から風景画まで幅広い作品を通して、紫紅の表現の変化を楽しめる展覧会でした。小下絵や資料も多く、作品の背景まで想像しながら鑑賞できるのが魅力です。ゆっくり美術館を巡りたい方におすすめです。
各展示コーナーは、人が10人以上いることもありましたが人の流れが途切れるタイミングもあり、落ち着いて鑑賞できました。
※横浜美術館の基本情報や施設については、前回の記事で詳しく紹介しています。
横浜美術館コレクション展(2025年12月〜2026年3月
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