展覧会のチラシで知り、横浜美術館で開催されている毛利悠子「Recompose」に行ってきました。

チラシを手に取ったときは、身近なものを使った現代美術なのかなと思っていました。
紹介文にあった「光、音、匂い」という言葉が気になり、写真をよく見ると、本物の果物と思われるものに何かが刺さっています。
一体どんな作品なのか気になり、実際に見てきました。
毛利悠子「Recompose」とは?

2024年にイタリア・ヴェネチアで開催された、世界的な現代美術の国際展「第60回ヴェネチア・ビエンナーレ」に日本館代表作家として参加し、個展「Compose」を開催しました。
今回、その展覧会が横浜美術館で再構成されています。
磁力や重力、空気のゆらぎなどの自然現象と、日用品や機器など身近なものを組み合わせ、予測できない動きや音、光を生み出す作品を制作しています。
横浜美術館では、ヴェネチアから運ばれた作品が、異なる環境の中で新たな姿へと変化していきます。
見どころ|2つのシリーズ

展示は、主に2つのシリーズに分かれています。
- モレモレ(Moré Moré[Leaky])
東京の地下鉄で起こる水漏れから着想を得た作品。身近な道具を組み合わせ、水の循環をつくります。
- デコンポジション(Decomposition)
果物に電極を刺し、朽ちていく過程で変化する水分量によって、不規則な音や光を生み出します。
「モレモレ」と「デコンポジション」に共通するモチーフは「水」です。
水の循環や変化を、光・音・匂いなどを通して感じられる展示です。
展示の感想

建物の入口を入ると、すぐ作品がありました。
パイナップル、リンゴなどの果物に点滴のように電極が刺さっています。
そして、パイナップルを見ると白いカビが!
「本当に果物なんだ」と、心が弾みました。

近くには「モレモレ」の作品がありました。

音がする床を見ていると、鈴が床にあたり、リンリンと鳴るのがとても可愛らしかったです。

「ホースはどうなっているのだろう」と上を見てみると、ペットボトルの中に水がたまっていて、時々ポチャッと水が落ちていました。
その音をもう一度聞きたくなり、いつ水が落ちるのだろうとしばらく眺めていました。
作品は不思議な形をしていますが、音や壁に映る影も素敵に感じ、展示の中でも特に気に入った作品です。

展示室に入ると、低い音や金属音、水の音が一斉に響き渡ります。

こちらの展示でも、鈴などの金属製のものが、まるで命を吹き込まれたように動き出す様子が可愛らしかったです。

「デコンポジション」では、電球や果物にも目が向きます。
果物を眺めていると、光が当たっている側から黒く変化しているように見えました。

朽ちていくリンゴには、細かなシワ模様が現れているものもありました。

香りはショーケースに入っているため、感じることはできませんでした。
果物はほかにも、マスカットやメロン、もも、韓国で親しまれているチャメ(マクワウリ)などがありました。
「チャメはどこで見つけたのかな?」「なぜ電極を挿し直した跡があるのだろう?」「11月までこの果物たちはこのまま展示されるのかな?」と見ているうちにいろいろなことを知りたくなってきました。
気になったことを係の方に聞いてみると、果物は定期的に学芸員の方が入れ替えているとのことでした。
電極が刺し直されたように見える跡については分かりませんでしたが、果物の水分量や電気の通りやすさが変化することで、挿す場所も変えているのかなと想像しました。
係の方も、果物の変化を楽しんでいるとのことでした。この日の果物はきれいなものが多いそうで、以前は果物に白くきれいなカビが発生していたこともあったと教えていただきました。
5日後の果物の変化


5日後にもう一度見てみました。
入口すぐのパイナップルは、一部が白くカビていたのですが、パイナップル全体が真っ白になっていました。


一方で、果物も入れ替わっていて、新しいリンゴが置かれ、レモンはマンゴーに変わっていました。
前回「今日の果物はきれいなものが多い方ですよ」と話していた意味がよく分かりました。
普段、傷んでいく果物をまじまじと見る機会はなかなかないので、時間による変化そのものを楽しめる面白い展示だと感じました。
秋になるにつれて、果物も秋の果物に変わっていくのか、これからの変化も楽しみです。

ヴェネチアでは400個以上のフルーツを使用。
展示後はコンポストで堆肥化され、最後は公園の土になったそうです。
基本情報

展覧会名:毛利悠子 Recompose 第60回ヴェネチア・ビエンナーレ日本館帰国展
会期:2026年7月24日(金)~ 11月23日(月・祝)
会場:横浜美術館 ギャラリー9 (正面から見て左手、美術図書室側)
開館時間:10:00 ~ 18:00(11月21日・22日は20:00まで)
休館日:木曜日 ※8月13日、9月24日、11月19日は開館
観覧料:無料
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